山笠用語


250年祭手ぬぐい

西組で山笠を作るときや曳くとき、山囃子方が使っているものなどを紹介する。


 ・合いの手(アイノテ)

山囃子の途中に入れる曳き方が出すかけ声。
「ヨーイヨーイ」
「ドースコイドースコイ」
「ソレ」
「ドッコイ」
「ストロコストロコスットントン」
「トトロコトントン」
「コーリャ」などがある。
曳き方は山囃子を十三曲しっかり覚えて合いの手をいれましょう。
合いの手がしっかりはいると山囃子方も気合が入ります。

 ・赤堤燈(アカチョウチン)

山笠巡行の指示をだす堤燈、またはこれを持っている人。
基本的に献燈長、副献燈長、献燈台取締二名の四つである。
白堤燈もあるがこれは観客の誘導や交通整理に使用する。
堤燈準備中

 ・L字(エルジ)

「大回り」のときの理想的な綱の位置。
綱を上から見ると「L字」に見えることからであろう。
「大回り」を行う境内は水勾配が付いておりしっかり「L字」に曳かなければ山笠が座らずに
どんどん下がっていく。

 ・男結び(オトコムスビ)

山笠作りで縄を結ぶ時に使用する結び方。
山笠は地山作りから飾り付けまで釘は使わず、この「男結び」で全てを結ぶ。

 ・海と山(ウミトヤマ)

山笠製作時の方向指示に使う。
使い方として「天井屋形の山によっちょるけんが、まー少し海さんやってー」。

 ・送りヤマ(オクリヤマ)

二日目にお諏訪さんで浜、東と大回りを終えて自分の地区へ帰っていくときに
途中まで西の山笠がついていくこと。

 ・お汐井(オシオイ)

山笠の下段に吊るす浜崎海岸の砂。
山笠を曳く前に舐めたり体にふりかけ清めたり、お守りとして使用する。
お諏訪さんの曳きだし前と浜区でのおり返し時に汲みに行く。

 ・お諏訪さん(オスワサン)

浜崎近郊の人は諏訪神社のことをこう呼ぶ。(祇園社は祇園さん)

 ・乙の音(オツノオト)

笛の指の押さえ方で、三味線の調弦時に出す山囃子の基本の音。

 ・踊り太鼓(オドリダイコ)

太鼓方のバチさばきのこと。経験を積むことにより自然と体得するらしい。
太鼓の間(ま)の部分でおこなう太鼓方の見せ場である。三地区それぞれに個性がある。

 ・カジボウ磨き(カジボウミガキ)

若者は下段の「赤堤燈」(献燈台取締)を引退後は「カジボウ」に廻らなければならない。
もちろん一番下っ端になるわけで先輩方が「カジボウ」につく前にしっかり手入れをしなければならない。

 ・カボチャ

四本柱からボウブラの先まで勾配をつけて取り付ける柱。飾り付けに使用する。
これに横竹を組んだらカボチャ棚という。

 ・祇園さん(ギオンサン)

唐津市北部は祇園祭礼をする神社が多々あるため、地名と組合わせて使用する。
「今年ん浜崎ん祇園さんは22日にあるばい」といった感じで使用する。

 ・グリス塗り(グリスヌリ)

車輪と車軸がどちらも木製であるため、諏訪神社出発前と浜区での折り返し時に
グリス塗りと芯棒、車輪の点検をおこなうこと。
これは「新人」の仕事である。中堅以上は「ヨイヤサへ行く」(下記参照)。

 ・下段鼻(ゲダンバナ)

山笠の鼻先。 「下段鼻の竹内薬局にかかったら「晒」に変えるけんな!」といった感じで使用する。

 ・献燈台(ケントウダイ)

浜崎の山笠は二日間とも夜がメインであり宵ヤマという言葉は存在しない。
つまり山笠の事を、神様に明りを供える台として献燈台と呼ぶらしい。

 ・献燈台取締(ケントウダイトリシマリ)

ネドリの前に二人付く、若者の最高ポスト。
ヤマを曳きだすタイミングをとったり、献燈長の指示をネドリ、ネヅナに伝えるのが仕事。

 ・献燈長(ケントウチョウ)

山笠の巡行指示の最高責任者。
「カジボウ磨き」をがんばっていつかは・・・・

 ・四本柱(シホンバシラ)

前二本、後ろ三本と五本あるけど四本柱、山笠の一番大事な柱。昔は四本だった。

 ・太鼓おろし(タイコオロシ)

山囃子方の大人の練習が始まること。
今までアイドリング状態だった気持ちが大人の山囃子を聞くことにより一気に爆発してしまう。
この日はみんな呑み過ぎます。

 ・台(ダイ)

松で出来ており山笠全ての重さを受け止める。
車輪も松、車軸は樫で出来ている。

 ・地山(ヂヤマ)

飾り付けを行う前の状態の山笠。縄で柱を組み上げただけであるが素朴で風情がある。
博多山笠でいう素山である。
地山

 ・ツナタクリ

「晒」の曲調が変わる事。
大回りの後、山笠を据えネヅナが曳き綱をたぐりよせるという意味からであろう。
普通は「ツナタクリに変える」と言わずに「おとす」という。

 ・天井屋形(テンジョウヤカタ)

山笠の一番上に飾る屋形で、この屋形だけ正面を向いている。御幣はこの上に飾る。

 ・ドンチンヤマ

山笠の幼児語。山囃子がドンチンドンチンなるからであろうか。
ヨーイヨイサー

 ・ネヅナ

台車から下段鼻までの曳き綱の位置。文字どうり綱の根っこ。
ここが山笠巡行時、一番大事な場所である。
ネヅナ

 ・ネドリ(根取り)

台車の前に三人つく、浜崎山笠の一番の花形で一番危険な係である。
ネドリが台車を後方に天秤を振らせることにより、曳き方の力を効率良く山笠に伝える。
昔は兵隊検査を合格した者だけが「ネドリ」につくことを許されていたという。
ネドリ

 ・ハナツキ

屋形や人形などの傾き具合。
屋形などを飾るときはまず根を決めて竹二本でハナツキを調整する。

 ・ピーツ

「晒」の吹き始め部を3回繰り返す事。
曲り角や大回りで山笠が一気に向きを変えるその瞬間に吹き始め部がきたときのみ囃される。
曳き方も「ピーツ」が入るように速度調整しながら山笠を曳く。
普通は「ピーツに変える」と言わずに「あげる」という。

 ・ビンビン

笛方の絶好調の状態。
「今日のお前は「ビンビン」鳴りよるたー」と誉めらるよう、笛方は精進する。対義語→ピーピー

 ・ボウブラ

下段屋根に前後方向に取り付ける四本の通し柱。
昔はボウブラからカボチャまで全てボウブラと呼んでいたというが
オランダ語で「カボチャ」を意味するというのと何か関係があるのだろうか?
ボウブラの上で記念撮影

 ・ミニ山(ミニヤマ)

山笠関係者の結婚披露宴のときに製作し、新婦を乗せ式場を一周する近年の伝統。
「大回り」ももちろんやります。

 ・屋形(ヤカタ)

とても日本的ではない極彩色の装飾となっている。
右屋形、左屋形と向きを違えて作られており、もちろん滝、川、海、橋、松,にも左右がある。

 ・ヤマが鳴く(ヤマガナク)

山笠の重さに車輪、車軸、台車がこすれあってきしみ音を出すこと。
昔は廃油を塗っていたためとても良い感じでヤマが鳴いていた。
最近は道路を汚すという理由からグリスとなっている。

 ・ヤマキチ(山気違い)

博多のほうでいう「山のぼせ」の事。

 ・山解(ヤマトキ)

山笠の解体作業の事で、ここまでが山笠奉納行事である。

 ・ヤリダシ

四本柱から腕木のようにだす柱。飾り付けに使用する。
浜崎山笠の大きな特徴である。

 ・雪山(ユキヤマ)

冬景色の山笠。
雪山の製作はかなりの手間がかかり、5年に1回あるかないかである。
雪山

 ・ヨイヤー

山笠が止まりそうになったときのかけ声。
止まりそうになったとき、若者が「ヨイヤー」と声をかけると子供達がぐっと力をいれるため山笠が止まらない。
子供達が「今んとの止まらんやったとは、オイがおかげばい」と自己満足する瞬間である。

 ・ヨイヤサ

山笠を曳き出すときのかけ声。
また山笠を据えているときに関係者の家を訪問することを「ヨイヤサに行く」という。
「唯八坂神社(ゆいやさかじんじゃ)」が語源になっているかも、といわれる。
地山解説


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